環境配慮への取り組みが進む中、包装(パッケージング)資材には薄肉化やモノマテリアル化が求められています。
一方で、これらの包材は熱収縮や変形の影響を受けやすく、従来と同じ条件では安定したシール品質を維持しにくいケースもあります。
さらに、生産効率を維持しながら品質を確保するには、シール方式の選定が欠かせません。
特に連続ヒートシール方式では、条件管理や設備停止時の熱影響など、運用面で考慮したい課題があります。
そこで注目されているのが超音波シール方式(超音波溶着方式)です。
シール部のみを発熱させる仕組みにより、熱影響の低減や品質の安定化、省スペース化などが期待できます。
本記事では、環境対応が進む包装工程の課題を整理したうえで、超音波シール方式の特長と、包装ユニットを選定する際のポイントを解説します。
環境配慮型パッケージが包装工程にもたらす変化
包装資材の環境対応は、包装工程にも大きな変化をもたらしています。
従来と同じシール条件では対応が難しいケースも増え、包材の特性に合わせた条件設定や設備選定が欠かせません。
まずは、包装現場で求められている変化を見ていきます。
薄肉化・モノマテリアル化で難しくなる、従来のシール条件
環境への配慮を背景に、プラスチック製包装フィルムの薄肉化やモノマテリアル化が進んでいます。
資材使用量の削減やリサイクル性の向上につながる一方で、包装工程では新たな課題も生まれています。
例えば、薄肉化した包材は熱収縮や変形の影響を受けやすく、モノマテリアル素材は従来と異なるシール条件が必要になる場合があります。
そのため、これまでの条件では品質を維持しにくいケースも少なくありません。
環境性能を損なわず、従来品と同等の生産効率を維持することが、現在の包装ラインに求められています。
連続ヒートシール方式で増える管理項目とコスト
連続ヒートシール方式では、生産速度の向上に伴い、シール条件の管理がより重要です。
温度・時間・加圧力のバランスがわずかに変わるだけでも、シール品質へ影響を及ぼすためです。
また、高速運転を安定して維持するには、条件設定だけでなく、ヒーターのメンテナンスや定期的なクリーニングなども欠かせません。
管理項目が増えるほど、運用コストや調整の負担も大きくなります。
そのため、品質と生産効率を両立するには、設備やシール方式も含めて検討することが大切です。
連続ヒートシール方式で生じやすい技術的課題
連続ヒートシール方式は、多くの包装ラインで採用されているシール方式です。
一方で、包材の変化や生産条件によっては、運用面で配慮したい課題もあります。
ここでは、設備停止時の熱影響と、内容物の噛み込みによるシール不良について解説します。
ライン停止時に拡大する「熱ダメージ」によるトラブル
連続ヒートシール方式では、金属コテなどの熱源を常時加熱しています。
そのため、設備が停止すると、熱源に近いフィルムは熱影響を受けやすくなります。
この状態が続くと、フィルムの変形や焦げが発生する場合があります。
復旧時にはフィルムを引き直す必要があり、包材のロスや作業負担につながるケースも少なくありません。
設備停止は完全には避けられないからこそ、停止時の熱影響も考慮してシール方式を選定することがポイントです。
内容物の「噛み込み」が引き起こすシール不良と二次トラブル
液体や粉体、油分などの内容物がシール部に付着すると、樹脂同士が十分に接触できず、シール不良につながる場合があります。
その結果、液漏れや内容物の品質低下を招くおそれがあります。
また、シール後に煮沸工程(ボイル殺菌)がある製品では、噛み込みによってシール強度が低下し、バースト(破裂)の要因の一つとなる場合もあります。
内容物の特性に応じてシール方式を選定し、噛み込みへの対策を講じることが、品質を安定して維持するポイントです。
包装ユニットにおける超音波シール方式の特長
超音波シール方式は、連続ヒートシール方式とは発熱の仕組みが異なります。
その違いにより、熱影響の抑制やシール品質の安定化、省スペース化などにつながる場合があります。
ここでは、包装ユニットに超音波シール方式を採用した場合の主な特長を紹介します。
シール部のみを発熱させる超音波発熱のメカニズム
超音波シール方式は、ヒーターで包材を加熱しません。
超音波振動によってフィルム界面に摩擦熱を発生させ、樹脂を局所的に溶着します。
発熱するのはシール部のみです。
そのため、設備停止時には振動も止まり、熱影響によるフィルムの変形や焦げのリスクを低減できます。
なお、インパルスシールも熱影響を抑えやすい方式です。
ただし、帯状のヒーター線を瞬間的に発熱させる仕組みで、冷却機構を備えることが前提です。
フィルム自体の摩擦熱を利用する超音波シールとは、発熱原理が異なります。
超音波振動による「しごき効果」が噛み込み不良を軽減する
超音波シール方式では、圧着時にツールホーンから超音波振動が加わります。
この振動によって、接合面に付着した液体や微粉末を押し出す「しごき効果」が期待できます。
その結果、樹脂同士が接触しやすくなり、シール品質の安定化につながります。
内容物が付着しやすい製品では、有効な選択肢の一つです。
工程集約による包装ユニットの省スペース化
超音波シール方式は、設備構成によってはシール工程を集約しやすい方式です。
工程を集約できれば、包装ユニット全体の省スペース化や、包装機械の設置面積(フットプリント)の抑制にもつながります。
限られた工場スペースを有効活用したい場合には、導入を検討する価値があります。
一方で、省スペース化の効果は設備構成や包装機の仕様によって変わります。
そのため、自社設備へ適用が可能かどうかは事前に確認しておきましょう。
超音波式の包装機・ユニットを選定する際の実務的確認ポイント
超音波シール方式の特長を十分に活かすには、包材や装置条件に合わせた選定が欠かせません。
導入効果は、包材の構成や製造課題、設備構成によって異なります。
ここでは、包装機や超音波ユニット(超音波溶着機)を選定する際に確認したいポイントを紹介します。
包材の「構成や形状」への適合性を確認する
超音波シール方式を選定する際は、包材の構成や形状を確認することが大切です。
特にシーラント層の厚みは、シール強度に大きく影響します。
また、酸素や水分の透過を防ぐバリア層への影響や、ベース層の外観品質も考慮する必要があります。
包材全体の積層構成や形状に適した条件で制御できるかを、事前に検証しておきましょう。
自社の製造課題(シール幅短縮・包材ロス削減)と照らし合わせる
超音波シール方式を導入する際は、加工・包装工程における「どの課題を解決したいのか」を明確にすることが大切です。
期待する効果によって、適した設備構成や仕様は変わります。
例えば、シール幅を短縮して包材の使用量を減らしたい場合や、ライン停止時の包材ロス、噛み込みによる廃棄を抑えたい場合など、目的を整理しておくと設備を選定しやすくなります。
また、既存設備への後付けが難しいケースもあるため、新規設備の導入や更新も含めて検討しましょう。
設置スペースや包装機のレイアウトも確認し、自社の生産環境に適した構成を選ぶことをおすすめします。
「ライン停止時の熱影響を抑えたい」「噛み込みによるシール不良を減らしたい」「限られたスペースで包装ユニットを構成したい」といった課題がありましたら、ぜひご相談ください。
精電舎電子工業株式会社は、超音波をはじめとする波動エネルギーによる溶着・溶断の専門メーカーとして、包材やご要望に応じたテストカット・実機評価に対応しています。
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