POINT
共振・増幅・伝達
超音波溶着に必要不可欠なツールが超音波ホーン(工具ホーン)です。
超音波ホーンは振動子で発生した振動に「共振」し、振動を「増幅」させてワークに「伝達」します。
超音波ホーンは共振によって振動しているため、設計した周波数と異なる機器では使用できません(15kHzで設計したホーンは19kHzの機器では使えない)。
ホーンの形状や寸法を安易に変えてしまうと共振できなくなる可能性があります。

また、超音波ホーンの先端は同一方向に均一に振動するように設計されます。振動(振幅)が不均一な場合、溶着強度や気密性のバラつきが発生しやすくなります。
最悪の場合、超音波ホーン自身の破断につながる可能性があります。
〔ワークの形状・材質に合わせ、振動解析データに基づき設計・製作しています。〕

周波数はそれぞれ伝達距離を有しており、共振する超音波ホーンのサイズにも影響します。基本的に周波数が低いほど伝達距離は長くなり、ホーンのサイズも大きくなります。

超音波ホーンの材質
超音波ホーンの材質は用途に応じて選定します。ここでは使用頻度の高い3種類について特長を説明します。
ジュラルミン
超音波ホーンに使用される最も一般的な材質です。
軽量で放熱性に優れ、メッキ加工や超硬溶射などの処理を施すことも可能です。
チタン
高振幅を要する際に適した材質です。
ジュラルミンと比べ硬度は高いですが、表面処理は限られています。
鉄(SKD)
摩耗対策として選択される材質です。
蓄熱性が高く、超音波ホーンの冷却が必須となります。
防錆処理が可能です。
ホーン製作例
ここからはホーン作成事例とその用途について説明します。特殊な形状のホーンをご紹介しますが、振動解析を行うことで、大型成形品の溶着に対応するための形状やカット・金属接合など用途に特化した形状での製作も可能となります。
ラムダホーン
半波長ホーンの組み合わせにより、伝達性を維持した上で大型成形品の溶着が可能です。1つの振動部で広い溶着面積に対応することが可能な為、従来超音波では対応不可能とされていたアプリケーションにもラムダなら成立する可能性があります。
多ホーン
複数の超音波ホーンと振動部のセットを配列することにより、大型ワークの溶着が可能となります。高い周波数の溶着機でも広い溶着面積の伝達溶着に対応することが可能です。
多振動部ホーン
1本の超音波ホーンに複数の振動部がついており、主にピロー包装機の横シールユニットにて効果を発揮します。高い周波数が有利な薄物溶着において、隙間なく最大300㎜のシール長さまで対応することが可能です。シール幅1㎜/1本線で従来のヒートシールと同等以上のシール強度と完全密封性を得ることができ、包装資材コストの低減に大きく貢献します。
フードカット用ホーン(一体式)
食品向けでは、通常の刃では難しいケーキのような柔らかい食材から硬い冷凍食品まで、「圧倒的なカット性/綺麗な切断面/切りくず低減/食材付着低減」により品質と生産効率の向上に貢献します。その他ゴムカット等にも超音波の効果を大きく発揮します。
超音波カット用ホーン(先端刃交換式)
先端に取り付けた超硬刃を超音波振動させることにより、切りくずがほとんどなく、通常の刃物と比較して加工効率が大幅に向上します。
樹脂製品のトリミングや裁断などに効果を発揮します。
金属接合用超音波ホーン
超音波金属接合では、接合部に対し超音波振動を効率的に伝達させる必要があり、そのために超音波ホーンや目立て(ナール)部の仕様は、接合に寄与する重要な要素となります。
当社では、超音波金属接合に関するノウハウや接合試験結果等から、お客様の製品に最適な超音波ホーンの提案をおこなっております。