超音波カッターの利用例と使用の際の注意点

POINT

多彩な活用シーンと安全な使用のために

超音波カッターは、「切りにくい」を「切れる」に変えるソリューションです。プラスチックやゴム、複合材、フィルムなど、従来の刃物では対応が難しかった素材もスムーズにカットします。 多様な業界での実績をもとに、用途別の活用例と導入時に押さえるべきポイントをご紹介します。

アプリケーション別の利用例

超音波カッターは、さまざまな業界や用途で活用されており、対象素材や加工目的に応じてその利点を発揮します。
ここでは代表的なアプリケーション例をご紹介します。

1. 樹脂・プラスチック製品のカット
ABSやPP、PETなどの熱可塑性樹脂に対して、バリや変形を抑えながらきれいに切ることができます。自動車部品や家電製品、パッケージ部材などの加工に適しています。

2. ゴム・発泡体・スポンジ素材の加工
粘弾性の高いゴムや発泡体も、切断に必要な圧力が低減されるため切断面の歪みや潰れを抑えてカットします。シール材や緩衝材、断熱材などの加工に多く使用されています。

3. CFRTPなどの熱可塑性複合材のカット
炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)などの高強度材も、従来の刃物加工と比べて刃具への負荷が小さく、
カット品質のばらつきが少ない安定した加工が可能です。

4. 医療・ヘルスケア製品の加工
チューブ状や中空形状の素材をつぶさずにカットします。医療用チューブ、ガーゼ、不織布などの加工に適しています。

5. 電子部品やフィルムの加工
極薄素材でも、破れや変形を抑えてカットします。フレキシブル基板、導電フィルム、液晶パネル部材などの精密電子部材に広く利用されています。

カットデモ:PVCレザー、ゴムシート(5mm)、プラダン(4mm)、自動車内装品(発泡、ガラス入り)、不織布、本革(1mm)、タイルカーペット

使用の際の注意点

超音波カッターは高精度な加工が可能な一方で、性能を十分に発揮するためには正しい使い方が求められます。
ここでは、導入・運用時に注意すべき主なポイントをご紹介します。

刃の破損に注意

超音波カッターは繊細な刃を用いるため、急激な方向転換や小さな曲率半径での曲線切断を行うと、刃が折れるリスクがあります。特に鋭角なカーブや連続的な小径カットでは、刃に過剰な応力がかかるため、カッターの最小推奨R(曲率半径)を守ることが重要です。製品仕様を確認のうえ、適切な加工条件で運用してください。

ホーンや刃のメンテナンス

工具ホーンやカッター刃は、超音波振動を正確に伝えるための要となる部品です。摩耗や欠けが進行すると、切断精度の低下だけでなく、刃の破損や飛散などによって作業者のケガにつながる恐れもあります。そのため、定期的な点検と適切なタイミングでの交換が欠かせません。摩耗の進行度合いに応じて計画的な保守スケジュールを組むことで、加工品質と作業安全の両立が図れます。

長時間の連続運転時は冷却対策を

超音波カッターは摩擦熱の発生が少ないものの、長時間連続で使用すると振動子やホーンに熱が蓄積し、性能の低下と共に破損リスクが増す場合があります。そのため、空冷ファンや冷却装置の併用が推奨されます。特に連続加工が多い環境では、冷却対策の有無が装置の寿命や加工安定性にも大きく関わります。

加工対象に応じた設定が重要

素材の硬さや粘性、厚みに応じて、超音波の出力や周波数の設定、使用する刃やホーンの材質・形状を最適化する必要があります。たとえば、硬質プラスチックとゴムでは、適した出力や刃の構成が異なります。加工対象に応じた選定を行うことで、刃の負担を軽減し、仕上がりのばらつきを抑えられます。
なお、工具ホーンや刃は振動体として設計されており、容易に形状を変更できるものではありません。そのため、お客様ご自身で仕様に合わないホーンや刃へ交換された場合、カット性能の低下や刃の折れ・欠けといったトラブルだけでなく、装置の破損につながる可能性があります。
安全かつ高品質な加工を行うためにも、指定の構成でのご使用をお願いしています。

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