超音波カッターの基本構成とその特長

POINT

超音波カッターの仕組みと性能の全体像

超音波カッターは、発振器・振動部・工具ホーンといった構成要素が連携し、超音波振動によってスムーズなカットを実現する加工機器です。
各構成部の役割や特長を分かりやすく解説するとともに、超音波カッターならではの優れた加工性能について詳しくご紹介します。

超音波カッターの基本構成

超音波カッターは、主に発振器、振動部ユニット、工具ホーン(超音波ホーン)から構成されています。
工具ホーン(超音波ホーン)は、振動部で発生した振動を増幅し、刃に伝達することでカット性能を向上させています。また、加工駆動部を使用して、発振器、振動部ユニット、工具ホーンと組み合わせて使用することもできます。

発振器

「発振器」は高周波電力の供給に加え、共振周波数の制御などを行っています。
共振周波数は使用する工具ホーン(超音波ホーン)によって異なり、動作時の温度にも影響を受けます。当社の超音波カッターは「定振幅回路」が搭載されており、これはホーン先端の振幅を一定に保つ機能です。常に設定された振幅を維持するよう作動し、安定したカットが可能となるよう制御しています。超音波振動用の電力供給と制御を行っているため、「発信器」ではなく「発振器」と表記されています。

振動部ユニット

「振動部」は素子で構成された振動子(BLT)と振幅を増幅する固定ホーンから構成されています。
固定ホーンによって振幅がさらに増幅され、その振動が工具ホーン(超音波ホーン)を通じて先端のカッター刃に伝達されます。工具ホーンは、カッター刃に単一方向の往復振動を伝えるように製作されています。工具ホーンに無理に追加工を施すと、共振周波数のズレや振動モードの悪化を引き起こし、ホーンやカッター刃の破断リスクが高まります。そのため、当社ではお客様による工具ホーンやカッター刃への追加工をお控えいただくようお願いしています。

工具ホーン

工具ホーンは、超音波振動を対象物に直接伝える部品で、カッター用途の場合は先端に切断用の刃が取り付けられます。当社では対象物に合わせ、超鋼刃かハイス鋼のいずれかで製作します。

加工駆動部

超音波カッターは手動タイプのみならず、ロボットアームなどに搭載して自動機としてもお使いいただけます。このような「加工駆動部」では、加工対象の形状や動きをセンサーで検知しながら、刃を適切な位置に移動・走査(スキャン)させてカットを行うでさらに精度が向上します。多関節ロボット、XYステージ、CNC制御装置などと連動し、複雑な形状や連続的な加工に対応します。また再現性や省人化に大きく貢献し、自動化ラインの導入や高度な工程管理において、超音波カッターの活用範囲をさらに広げる鍵となります。

超音波カッターの特長

超音波カッターは、刃先に超音波振動を加えることで、従来の機械切断とは異なる仕組みで高い切断性能を実現します。 ここでは、産業用途で注目されている超音波カッターの主な特長についてご紹介します。

1. 少ない力で切れるため、切断面がきれい
刃先が1秒間に数万回という高速微振動を行うことで、接触抵抗を減らしながらスムーズにカットします。
このため、柔らかい素材や変形しやすい素材でも、潰さずにきれいな断面に仕上げることができます。

2. バリやひずみが出にくい
切断時の押し込み力が最小限に抑えられるため、部品のバリ・歪み・変形が発生しにくくなります。

3. 切り粉(切断くず)が少ない
切断面が滑らかで、切り粉がほとんど発生しません。クリーンな作業環境を維持したい現場にも適しています。

4. 刃に付着物がつきにくい
カット中の付着物が刃に残りにくく、食品や粘着性のある素材もスムーズにカットします。

5. 繊維のほつれを防止できる
布・不織布・繊維素材のカット時、超音波振動が繊維の端を軽く溶かしながら切るため(溶断)、切り口がほつれにくく、外観の美しさを保てます。

6. 中空形状・チューブ状のものも潰さずにカット可能
スポンジ、チューブ、パイプなどの中が空洞の形状でも、押しつぶさず、形を保ったままカットします。

7. 複雑形状にも対応可能
ロボットアームや走査装置と組み合わせることで、曲線や複雑な輪郭形状の自動切断が可能です。

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